野立て太陽光発電の施工で、基礎工事をどうするかでお悩みではないですか?スクリュー基礎工事について向いている土地の条件を紹介します。
野立て太陽光発電を設置するのに適した土地の条件
野立て太陽光発電を設置するのに適した土地の条件としては、
日照条件がよい(影ができにくい)
高い屋根の上と違い、低い地面に光発電設備を設置するので、周囲に影となる建物、樹木など日光を遮るものがないことが重要です。また、長年にわたり発電を続けるわけですから、現在影となる建物がなくても、今後の建築予定の有無などをよく確認しておくべきです。
近くに配電設備・インフラがある(既存の系統への連系が容易である)
電柱・電線など既存の電力系統が近くにあることも重要です。周囲に配電設備がない場合、発電した電力を電力会社へ売電するために既存の電力系統まで電線をつなげる費用負担が大きくなる恐れがあります。
地盤がしっかりしていて、平坦(もしくは、なだらかな傾斜)である
太陽光パネルと架台をしっかり固定して載せるための基礎工事をするので、地盤がしっかりしていていることが重要です。また、できるだけ平坦な土地でなければ架台を固定できないため、土地の状態によっては大きな整地費用がかかる場合があります。傾斜地に施工する案件もありますが、傾斜角度が急であったり地盤の状態によっては技術面や安全面の観点から施工は困難となる場合がございます。
しかし、2012年7月の売電価格(税抜)40円からスタートした、産業用太陽光発電ですが、ここ数年の間で、平らな野立て案件は、大幅に減少傾向にあり、傾斜地での太陽光発電施工も増えてきております。
コンクリート基礎とスクリュー杭基礎の違い
コンクリート基礎
野立て太陽光発電を設置する場合、以前まででしたら、“コンクリート基礎”を作って、その上に架台を組立てるやり方が主流でした。
コンクリート基礎は、強度も高くて頑丈かつ見た目も良いですが、コンクリートが固まるのを待たなければならないなど施工期間が長く、施工費用もかなり高くなります。撤去する場合の撤去費用も高いので農地だった場所などではおすすめできません。
スクリュー杭工法
そこで、注目されているのが、“スクリュー杭(”グランドスクリュー“とも言います)”工法です。スクリュー杭とは、言うなれば“大きいネジ”のようなものと考えてもらえれば解りやすいかと思います。このスクリュー杭を地面に打ち込んで固定し、それを基礎として架台やパネル取り付けていくという野立て太陽光発電施工の工法です。
コンクリート基礎に比べて施工期間は短く、施工費用も安くなります。コンクリート基礎の場合、ある程度まで整地が必要になってきますが。スクリュー杭の場合、そこまでの整地は求められません。 90cm程度の高低差の土地では、スクリュー杭の選択によって、整地が不要になり(下記の写真参照)、整地費用も浮かせることができるのです。
写真のように、1つの架台内での高低差が最大90cm程度まで遊びがあります。
撤去時も杭を引き抜くだけで容易となるため撤去費用も下げられます。元農地で基礎工事を行った場合、スクリュー杭基礎まで取り除けば、また農地に戻すこともできます。
スクリュー杭基礎 | コンクリート基礎 | |
施工期間 | 短 い | 長 い |
金 額 | 安 い | 高 い |
整地具合 | 多少ボコボコでもOK | なるべく平ら |
見 た 目 | それほど悪くはない | 良いイメージ |
スクリュー杭工法:向いている土地
太陽光発電設備を設置するにあたって、安い&工期が短いスクリュー杭工法は、とても魅力的な方法ではあると思いますが、どのような場所でもスクリュー杭打設が施工可能というわけではありません。
よく問題にもなっておりますが、基本的に、柔らかい軟弱な地盤はNGです。地下に空洞や水脈などがある場合も同様です。スクリュー杭は簡単に打設できるのですが、その後が問題になってきます。
架台、パネルと載せていくとスクリュー杭にそれらの荷重が加わり、その重さで沈下してしまいます。スクリュー杭はそれぞれ高さなどをレベル合わせで調節して打ち込んでいるので、そのせいで組み上げた架台やパネルなどの発電設備が損壊してしまいます。また柔らかすぎると杭が強風で抜けてしまうということにもなります。
台風で基礎埋設部分が抜けて歪んだ太陽光発電
障害物がある土地や地盤が硬すぎて、スクリュー杭が打てないという土地も難しいですが、地盤が軟弱である土地へのスクリュー杭工法は、最善の注意が必要になってきます。
地盤が硬い場合、先行掘削を行ってスクリュー杭を打ち込めるよう処置します。地盤が柔らかい場合では、支持用の羽が大きい軟弱地盤用の大羽スクリュー杭や2500mm スクリュー杭を用います。
しかしながら、地盤が軟弱すぎる場合、スクリュー杭基礎よりもコンクリート基礎による工法のほうが工期と費用的にも良いという結果になることもあり得ます。
以下、スクリュー杭に向いている土地と、不得意な土地を表にまとめてみました。
スクリュー杭基礎 | コンクリート基礎 | |
粘土地盤 | ◎ | ◎ |
関東ローム | ◎ | ◎ |
小石が混じる地盤 | ○ | ◎ |
硬い地盤 | × | ◎ |
柔らかい地盤 | △ | △ |
30cm程度の高低差の土地 | ◎ | ○ |
50cm程度の高低差の土地 | ◎ | × |
90cm程度の高低差の土地 | ○ | × |
※高低差の土地は、1つの架台内での高低差になります。
スクリュー杭の変形
スクリュー杭打ちの施工中では、打っている最中にスクリュー杭が変形するという衝撃的なこともありました。
あくまで当社の経験からですのでご理解頂きたいのですが、変形しやすくなる特徴をまとめます。
- 杭の肉厚が薄い。(経験上3mm以下だと変形しやすいです。)
- 杭に1cmくらいの塗装時に使用する穴が空いている。
- フランジ(上部のお皿)部分と単管部分の溶接が弱い。
- 地盤が非常に硬い。(先行掘削を行っても、変形したケースもありました。)
これらの事態を防ぐには、現地調査と事前試験をすることが非常に大切になってきます。
スクリュー杭工法に適している土地なのか、どのような打設方法がいいのか等、施工現場で現地調査と杭の選定検査を実施する事で判断と確認を行います。実際に使用予定の杭を打ち、引き抜き検査等の選定検査を実施して地盤の状態を確認することです。この検査結果によっては、杭の肉厚が3mmでも、全く問題ない現場もあります。
杭の簡易強度検査を活用して、最適な杭選定を
当社では、最適な杭選定を行なって頂くために、簡易な杭検査で杭を選定することもご提案させて頂いております。
当社では、スクリュー杭の販売も行っております
杭の購入を検討されている方、また、杭の変形や破損などでお困りなことがございましたら、どうぞお気軽にご相談・お問合せください。
スクリュー杭サイズ(mm)
- L=1200
- L=1600
- L=2000
- L=2500
*他のサイズについてもご相談ください。
事前に調査と試験を行う事により、その土地に適した可能な施工方法を行って、施工費用を軽減する事にもつながります。行き当たりバッタリの杭打ち施工は避けた方が良いと考えております。
当社では現地調査と杭の載荷試験に加えて、杭の選定検査も実施しておりますので、気になる方、スクリュー杭打設による工法に興味がおありの方は、お気軽にお問い合せください。全国対応いたします。
*業務時間外は、直接担当者に繋がります。