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太陽光発電のスクリュー杭載荷試験

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杭の選定検査

野立て太陽光発電の基礎で用いられるスクリュー杭ですが、現場の状況によっては杭打ちや設備の設置が困難であることがあります。事前に杭の選定を行なうことで、そのようなアクシデントを未然に防ぐことができます   

令和5年4月から10kw以上の小出力発電設備でも適用される使用前自己確認<杭の載荷試験>について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧下さい

杭の選定検査とは?

杭の選定検査とは、野立て太陽光発電システムの施工現場にて、実際に使用予定のスクリュー杭で杭打設を行い、引抜き・押込み・水平の載荷検査※を行ない、適切な杭を選定する作業のことです。
※検査:試験を簡易的に行なったものを当社では検査と呼んでいます。


スクリュー杭打ち状況

引抜き検査

杭の選定検査を実施することによって、スクリュー杭の長さの適正を調べることができます。

試験や検査の結果によっては、スクリュー杭での工法は推奨できない場合もございますが、代替案もご提案させていただきます。

杭の選定はなぜ必要?

スクリュー杭工法は、コンクリート基礎に比べれば施工期間が短く、施工費用も安くなるので、コストパフォーマンスが高い工法の一つです。しかしながら、どのような土地でもスクリュー杭工法による施工が可能というわけではありません。現場となる土地の地盤の状態によってはスクリュー杭工法が困難な場合もあります。

例えば田畑や湿地帯などは地盤が軟らかく、スクリュー杭を打設しても、杭の必要支持強度が出ないことがあります。このような場合、いくらスクリュー杭を長くしても、強度を取る事はできないこともあります。。場合によっては杭基礎自体を見直す必要があります。

逆に地盤が硬い場合は、わざわざ長いスクリュー杭にする必要はありません。大羽杭や長めの杭を採用してしまうと、手間がかかってしまい、施工コストが上がってしまう恐れもあります。

硬い地盤の杭打設杭基礎メンテナンス左:硬質地盤への杭打設 右:軟弱地盤での杭沈下対策

杭の選定検査を実施することによって、スクリュー杭の長さや種類の適性を調べることができます

杭の選定検査は、本工事の前、杭の発注前に実施することが重要です。使用予定であるスクリュー杭で強度が取れるのかということを確認するための検査なので、十分な強度がとれなかった、あるいは必要以上に強度が取れた場合を想定し、複数(最低でも3種類程度)の長さや種類の違う杭を用意し、選定検査を行うことで、その土地に合った適切な施工計画が立てられます

太陽光アレイにおいて懸念される荷重

太陽光アレイにおいて懸念される荷重は大きく分けて4種類あります。

1.固定荷重

固定荷重は自重といわれることもあります。自重は読んで字の如く、太陽光アレイ自身の荷重で、架台やパネル、その他電気設備等、杭基礎に対して長期的にかかる正圧(重力方向への)荷重です。

2.風圧荷重

風圧荷重にはアレイ面に垂直にかかる順風(正圧)荷重と、逆風(負圧)荷重があります。突風などのアレイ面にかかる短期的な荷重を想定しています。

3.積雪荷重

積雪荷重は、太陽光アレイに対して鉛直方向に働く長期的な正圧荷重となっております。これは一般的な地域と多雪地域で荷重が分けられています。

4.地震荷重

地震荷重は、水平方向にはたらく短期的な荷重です。

台風被害
歪んだ太陽光パネル

これら4つの荷重に杭基礎が耐え得るかどうかを、杭の選定検査では確認していきます。適切な杭を使用せずに施工を進めてしまうと、最悪の場合、杭が抜けてしまうなどによって架台やパネルが歪んで破損する恐れがあります。

弊社では、お客様の太陽光アレイの強度計算書に基づいた強度に安全率を乗じた数値で検査を実施しております。

杭の選定検査を行う最大のメリットは、杭の載荷試験の予備試験を事前に行えるという点にあります。いざ杭の載荷試験を実施しても、そこで杭が大きく抜けてしまったり、逆に沈んでしまったりすると、杭の長さや種類を再検討して、もう一度杭の載荷試験を実施する必要が出てきます。そうなると杭を再発注したり、再試験の段取りをしたりと時間的にも金銭的にもコストが膨大になってしまいます。

そういったリスクを事前に確認できるのが杭の選定検査の強みです。

杭の選定検査の内容

杭の選定検査には、主に「押込み検査、引抜き検査、水平検査」があります。

押込み検査

地面に打設したスクリュー杭基礎に直接荷重を加えていき、その杭の沈下量から地盤の支持力(地盤が支えられる荷重の大きさ)を求める検査方法です。

押込み検査

押込み試験は、家などを建てる時に、地盤に強度があるか?の確認するための試験です。太陽光発電施工の場合だと地盤調査もせず表面の地盤だけで硬さを判断して、地盤が柔らかくても気づかずに架台やパネル設置してしまうケースがあります。そうすると何年かすると(短い場合だと数ヶ月で)架台やパネルの重さで杭が沈下してしまい、その影響で架台が曲がる、パネルが割れるといった破損が起こるのです。

スクリュー杭の押込検査では、スクリュー杭に計測装置類を取り付け、ユンボなどの重機によって荷重を加えていき、時間をかけてどの位沈下したのかを計測します。大型の重機類が入りにくい地域や短時間で計測したい場合は、計器にブロックや重機のアーム等によって荷重を加えて計測する簡易式の検査方法もあります。
押込み検査

押込み検査を行う事によってスクリュー杭基礎が沈下してしまうトラブルの対策と防止につながります。

特に雪がよく降る豪雪地帯等では、パネルや架台への積雪によって荷重が急速にかかり、発電設備が大きく損壊してしまうという事例が多くあります。長期の運用のためにも押込み検査と引抜き検査の両方が必要な案件が増えています。

引抜き検査

引抜き検査は、杭を打設した後、必要支持強度まで杭を引抜き、その際の変位量を確認する検査です。

引抜き検査

スクリュー杭を指定深度まで打設し、その杭に計測器を付けて鉛直方向に引き抜くことで、杭が瞬間的負荷にどれだけの耐力があるのかを確認します。

水平引張り検査

上方向に引く『引抜き検査』横方向に引く『水平検査』で強度を確認します。

引抜き・水平検査

上記のうち以下の3つの検査を、当社では、杭の選定検査と呼んでいます。

杭の選定検査

  • ①『押込み検査』
    自重のほか、積雪や強風によって鉛直方向下向きの力が生じた時に、杭がその荷重に耐え得るかどうか。
  • ②『引抜き検査』
    強風などによって、架台に対し鉛直方向上向きの力が生じた時に、杭がその荷重に耐え得るかどうか。
  • ③『水平検査』
    強風や地震などによって、架台に対し水平方向の力が生じた時に、杭がその荷重に耐え得るかどうか。

杭の強度検査を行うメリットとしては、杭を打ち込むので実際の施工時の感触も確認できて、柔らかい場合、硬い場合によって杭の長さなど調整することで経費を最小限に抑えることができます

例えば2mの杭打ち施工を予定していて、引抜き検査の結果1.6mのスクリュー杭でも強度が保てるという事が分かれば、経費の削減にもなります。

 スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)

SS試験

野立て太陽光発電設置予定地の地盤が、どの程度の硬さなのかを調べる試験です(※戸建て住宅の地盤試験として行われているポピュラーな試験方法です)。

この試験装置及び試験方法は元々スウェーデンで開発されたものなので、日本では導入元である国名を考慮して旧規格までは”スウェーデン式サウンディング試験方法”と呼ばれていた試験です。しかし、対応国際規格ではスウェーデンという国名が付けられていないこと、日本では試験装置及び試験方法が独自に発展し、対応国際規格とは異なるものとなっていることから、規格名称が”スクリューウエイト貫入試験方法”に変更されました
※「JIS A 1221:2020 スクリューウエイト貫入試験方法」序文を参照

引き抜き試験図解

この試験は、先端がドリル状(スクリューポイント)なっている鉄の棒(ロッド)を地面に垂直に立てて、それにおもりを載せた荷重、そのまま回転を加えた場合に対するそれぞれの沈み込む深さ(貫入量)を測定し、土層構成と地盤の強さを判定するものです。

荷重と回転数を計測して、地盤の強度を表す「N値」を算出することで、事前にどのような基礎を選定すればいいかなどに役立ちます。このN値が低すぎると、地盤の沈下などを引き起こす原因にもなるので、重要な指標となってきます。

例えば、50cm掘ってみようとしたが岩盤になっており、スクリュー杭での施工が好ましくない現場もあるので、そのような現場での事前計画が立てやすくなるというのも利点の一つです。

あくまで土壌の組成を調べるもので参考となる程度ですが、野立てで太陽光発電を設置する際にきちんとSS試験を実施しておけば、後々のトラブルを防ぐことにつながります。

まとめ

太陽光発電施設のSWS試験や杭の選定検査を当社では、2019年は34件、2020年は39件、2021年は27件、2022年は35件実施しております。

杭の選定検査を活用して、最適な杭選定を

杭の載荷試験と、試験よりも簡易な杭の強度検査を組み合わせることで、当社では、最適な杭の選定をご提案させて頂いております。

杭の選定検査

さかい

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