こんにちは。酒井です。
今回は風力発電、中でも近年話題の洋上風力発電の基礎知識について、ご紹介したいと思います。
洋上風力発電とは、読んで字の如く海洋上に設置する風力発電のことです。陸上に比べ海上(洋上)は絶えず強い風が吹いているため、より効率的に、大きなエネルギーを得られることが利点の一つでもあります。
先ほど洋上風力とは海洋上に設置するもの、と書きましたが、湖や港湾内に設置するものも総じて洋上風力発電と呼びます。陸上風力と同じく、地面(海底や湖底など)に支柱を固定するもの(着床式)が多い一方で、近年は浮体性のある基礎に固定するもの(浮体式)の実用化に向けた試験が行われています。
この二つのタイプは、水深によってどちらを使用するかが決まります。
着床式のメリットに、従来の基礎工技術を応用できるため、比較的低コストでの施工が可能であることが挙げられますが、一方で水深が深い場所、特に水深100m以上の場所では逆にコストがかかりすぎてしまうというデメリットもあるため、遠浅の海域や内水面(港湾内や湖沼)に多く用いられています。
浮体式のメリットは、水深が深い場所でも設置できることです。とりわけ海洋上は遠洋ほど強い風が吹いている傾向にあるので、より効率的に発電することが可能です。ただし現在はまだ高コストであるため、導入はあまり進んでいません。
遠浅の海域が多くみられるヨーロッパでは特に開発が進められており、自然エネルギーに占める洋上風力発電の割合は年々急増しています。
日本では環境アセスメントなどの問題から、一時は鈍化していたものの、2019年4月に施行された「再エネ海域利用法」を契機に案件が急増し、現在では総出力が10GWを超えています。
再エネ海域利用法により、自然的条件が適当であり、漁業や海運業に支障をきたすことが無いなどの要件に適合した一般海域内の一部区域を促進区域に指定し、事業者が洋上風力発電を設置しやすくなったことが急増の大きな要因でもあります。
とりわけ着床式洋上風力発電は、十分な競争環境が成立していると考えられており、今年度からFIT単価は入札方式になったほどです。
ここまでざっと紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。今後も機会があれば、太陽光発電以外の自然エネルギーについて少しずつご紹介できればと思います。