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2021年

太陽光発電と農地法①~農業を守る法の壁~


こんにちは。酒井です。

最近密かに宅地建物取引士の資格取得に向けて勉強をしているのですが、その中で出てくる「農地法」について、今回はお話します。

農地法とは

改めて農地法とは何かといいますと、「国民に対する食料の安定供給の確保に資する」、つまり「食糧の確保」のための法律なんですね。ゆえに農地を農業以外の利用目的に転じる(=農地転用)ことを、この農地法をもって規制したわけです。

そのため農地を農地以外の目的(例えば、住宅、発電設備など)で利用しようと思っても、許認可をもらわなければ転用することができません。

また農地転用は、農地法のうち第4条と第5条によって規制しており、その許可権限は原則として、都道府県知事が有しています。

4条と5条の違い

農地法第4条は「農地の転用の制限」について、第5条は「農地の転用のための権利移動の制限」について、それぞれ定めているのですが、これを分かりやすく説明すると、以下のようになります。

※第5条でいう「権利」には、所有権、地上権、賃借権などが挙げられます。

このように第4条は農地転用の事実自体を規制するもの(自己転用ともいう)、第5条は農地転用に際し、該当地にかかる権利の設定・移転が伴う場合に規制するもの、という違いがあります。

許可権限について

先ほどもお話した通り、農地転用の許可権限は原則、都道府県知事が有しています。(一部地域は市町村長が有するので、以後、都道府県知事等と記します。)ただし4ヘクタール以上農地については、許可権限庁は農林水産大臣との協議が別途必要と定められています。

ただそうなると、都道府県知事等は小さな農地の転用についても一つ一つ細かく把握する必要があり、非常に煩雑になってしまいます。そこで「地方自治法」というものによって、「事務の一部を移譲」する形で、各市町村町に許可権限が委譲されており、さらに各市町村における農業関連の執行機関である農業委員会に、権限を委任しているのです。

要するに、建前上、農地転用の許可権限は都道府県知事等にありますが、実質的には各市町村の農業委員会にある、ということですね。(農業委員会から許可が出れば、農地転用ができる!、ということです。)

農地転用許可の申請手続きについて

農地転用の許可を得るには、農業委員会を通して都道府県知事等に申請書を提出します。申請内容は農林水産省によって定められたものとなります。

農地法の第5条申請(以後、5条申請)については、原則として当事者双方による連署が必要になります。(ただし強制競売、裁判上の和解、民事調停の成立などの場合は、単独申請が認められています。)

一方で、農地法の第4条申請(以後、4条申請)は、転用事業者が単独で申請できます。

該当地が30アールを超える場合は、都道府県知事等(都道府県機構)から意見をもらうことになりますが、これには法的拘束力はなく、あくまで意見として提示されます。

この申請の際によく心配されるのが、「農業委員会に提出を拒否されたら、そもそも無理なのでは?」というようなことですが、実際にはそのようなことはありません。というよりもできませんので、ご安心ください(笑)。

なぜならば、農地法において定められる農業委員会の権限は、あくまで提出された申請書を審査(必要に応じて実地調査を実施)し、意見書を付して都道府県知事等に送付するのみであり、不受理が発生した場合には、違法として取り扱われるためです。

無断で転用したら…

「なんか色々ややこしいし面倒くさいし、バレへんかったら大丈夫やろ!」と思って、勝手に転用してしまうと、当たり前ですがその先には罰則が待っています。とりわけ5条申請については、権利が勝手に移動すること自体が法律上あり得ないことと解釈されているので、その点は十分にご留意ください。

詳しい罰則等については、今後のブログでご紹介いたします(笑)。

ただし許可が不要な「例外」も存在します。

許可が不要な農地転用とは

農地転用には原則、都道府県知事等による許可が必要です。しかし例外的に次の場合は、転用許可を受ける必要がありません。

ひとつは「国・都道府県等の行う公共事業にかかわる」場合です。道路や地域振興等で必要性が高いと認められる施設であり、農林水産省が認めるものは許可除外となっています。もしくは都道府県知事等との間で協議がなされれば、転用許可となる場合もあるようです。

もうひとつは市街化区域内の農地転用です。この場合は、予め農業委員会に「届出」をしていれば、転用許可は不要になります。ただし法律上は「届出」となっていますが、届出があったのち、受理・不受理を農業委員会で審査するため、事実上「申請」という形になっています。届出内容は各市町村によって定められたものを提出します。

となるとここで、「え、じゃあ不受理になったらどうすればいいの?」「不受理=転用不可ってこと?」という疑問が出てきても不思議でがありませんね。しかしご安心を。不受理とされた場合にも、解決策はいくつかあります。

そもそも農業委員会が不受理と判断する場合、「その理由を書面で通知しなければならない」ことが農地法で定められています。なので、その理由・原因をクリアできれば、解決の糸口は見えてくるかもしれません。

また不受理とする理由は主に、①該当地が市街化区域にない場合②届出者が該当地への権利を有していない場合③届出書の不備、のいずれかであることが大半のため、不受理となった原因は、むしろ届出者の方にあることがほとんどです。

以上の3点以外の理由で不受理とされた場合は、行政不服申し立てが可能であり、この場合は都道府県知事等に対する審査請求となります。

ここまでは農地法と農地転用についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。次回は転用許可の基準について綴っていきます。(次回ブログはコチラ

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